春の花咲く月夜には
「職場が同じなので仕事の話もしますけど・・・、音楽の話が多いです。好きなバンドが結構似ていて」

「え!?そうなの?こはるちゃんも音楽好き?」

「はい。私は聞くの専門ですけど・・・」

「どういうの聞くの?」

「『×3BLACK』が一番好きです。あとは『LURES』とか『RZ』とか・・・。賀上くんの『T's Rocket』も最近ファンになりました」

「えー!私も『×3BLACK』大好きだよ。そっか、そしたらうちらのバンドもきっと好きだよ!」

そう言うと、アンナさんは笑顔で右の親指をグッ!と立てた。

リュウさんとコウヘイさんが、2人で「ぷっ」と笑いだす。

「すげえ自信だな~」

「さすがアンナ。あ、この前のライブの映像見てもらおうか。それで実際わかるから」

「トウマ、タブレットー」とリュウさんが声をかけると、トウマさんがタブレットを持ってこちらのテーブルに来てくれた。

そして画面を操作して、ライブ映像を映し出す。

「これね。うちらのバンド、『ANTENNA』っていうの」


(『アンテナ』・・・)


タブレット画面には、ハードな衣装に身を包んだ「ANTENNA」のライブ映像が映し出された。

アンナさんの、唯一無二のような声。

突き抜けるような音楽は、私は確かに好きだった。

「かっこいい・・・」

ライブ映像を見ながら私は思わず声を漏らした。

アンナさんは「でしょ!?」と言って、嬉しそうな顔をする。

「曲の感じとかはあんまり似てはいないんだけどね、『ANTENNA』と『Tロケ』のファンの子たちって結構かぶっているんだよ。そこらへん好きなら絶対にうちのバンドも好きだと思って」

私は、アンナさんの言葉に頷いた。

似ていないけど、感覚として両方好きだ。

「ああ・・・、来月オレら『Tロケ』と対バンするんだよ。こはるちゃん、もしかしてライブ来るかな」

「あっ、はい。行く予定です」

「ほんと!?そしたらまた1人ファンが増えちゃうな~。よし!前祝いだこはるちゃん。飲も!」
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