春の花咲く月夜には
「なんだそれ~」「飲みたいだけだろ」と、男性たちが突っ込んだ。

アンナさんはそれらの言葉を気にすることなく、「カンパーイ!」と言って私とまたグラスを合わせた。

「あ、こはるちゃんもうビールないね。マサさーん、ビールくださーい!」

「はいはい。ちょっと待っててね~」

そこから、色々なバンドの話をしたり、曲の制作話を教えてもらったり、私が知らない、楽屋での賀上くんのことを教えてもらったり・・・色々な話を聞かせてもらった。

マサさんが言っていた通り、みんな優しくて楽しくて、私はたくさん笑顔になった。

あのまま家に帰っていたら、私は・・・きっと一人で泣いていた。

先生の話に悲しくなったのはもちろんだけど、やっぱり、私は先生にとってとても都合がよかったのではないのかと・・・、言えばすぐ、どうにかできると思われているような・・・軽い存在のような感覚がして、それがなにより悲しかった。


(・・・でも、あの出来事があったから、マサさんが助けてくれて、アンナさんたちと出会えたんだ・・・)


そう考えると、少し気持ちが楽になるかな。

本当に、マサさんが誘ってくれて・・・、ここに来れてよかったな・・・。

「・・・あれ?こはるちゃん、目がトロンとしてきたね。眠い?」

「・・・そうですね・・・」

そういえば、今日は何杯飲んだっけ?

大して飲んでいない気がするけれど、金曜日だし残業後だし、先生とのこともあり・・・、心身ともにかなり疲れが溜まっていたから、いつもより酔いが回るのが早くなっているかもしれない。

明日は賀上くんと約束しているし、そろそろ帰ったほうがよさそうだ。

とはいえ、これから駅まで歩いて電車に乗って帰るから、少しだけ酔いを醒まして・・・、お水をもらって休憩してからお店を出よう・・・。

そんなことをぼんやりしながら思っていると、どんどん瞼が重たくなってきた。

ーーー思考が止まる。

そして私は、そのままスースーと眠ってしまったようだった。











< 134 / 227 >

この作品をシェア

pagetop