春の花咲く月夜には
(な、なんてこと・・・)


私は、マサさんのお店でお酒を飲んで、そのまま眠りこけてしまったようだ。

そしてまさか、賀上くんに連絡がいってしまうとは・・・。

申し訳なくて恥ずかしくって、私は彼に頭を下げた。

「・・・ご、ごめんなさい・・・。迷惑かけて」

「あ、いや、全然迷惑とかじゃないんですけど・・・。オレでいいのかなっていうので結構悩んで・・・、けど、オレが行かなければ『ANTENNA』の誰かに頼むとか、マサさん言い出したから。アンナさんもかなり酔ってたみたいだし、となると、トウマさんあたりが本気で連れて帰りそうで心配で・・・。って言っても、心春さんの家がわからないんで、結局、オレの家に連れて帰ってきたんですけど・・・」

「すいません」と、今度は賀上くんが頭を下げた。

私は、「ううん!」と大きく首を振る。

賀上くんが謝ることは何もない。

それに、トウマさんのことはあまりわかっていないけど・・・、もし、お持ち帰りされてしまっていたら、大変なことになってたような・・・。

賀上くんが私を心配して来てくれたのは、素直に嬉しく思うしホッとした。

「・・・ありがとう。ごめんね・・・、酔っ払いを連れて帰るなんて大変だったでしょ・・・」

「ああ・・・、いえ。うちまではマサさんが車で一緒に送ってくれたんで、それは全然・・・」

「・・・そ、そっか・・・」

想像すると、恥ずかしさと申し訳なさでいっぱいだった。

2人の男性に運んでもらう、酔っ払いのアラサー女・・・。

今まで、お酒は強い方だと思っていたけど、これからはもう、絶対に気をつけなければ。

「・・・あの、それで・・・」

賀上くんが、顔を赤くしながら言いにくそうに切り出した。

私は、聞き返すように首を傾げる。

「その・・・、マサさんが帰ってから、心春さんをそこに寝かせたんですけど・・・、なんか苦しそうだったんで、少しだけ、服を・・・」

「え?」
< 137 / 227 >

この作品をシェア

pagetop