春の花咲く月夜には
前回にも増して、「サクヤー!」という黄色い声が飛び交っている。
私は会社で見慣れた髪型だけど、ステージ上、ギターを抱えた彼の姿は、いつも以上にかっこいい。
(しかも、衣装もわりときちんとしてるし・・・)
前回のライブでは、賀上くんはもっとラフな感じの服装だった。
けれど今日は、きれいめなシャツにパンツを合わせ、わりときちんとした格好だ。
「お~っ!かっこいいじゃん賀上くん。元気そうだし・・・、これは確かに女子が騒ぐわ。前髪、普通に整えてるから顔が見えるね」
「うん・・・、ちょっとびっくりしてる」
彼のライブを観るのは2度目だし、本人に確認したわけではないけれど。
ファンの子たちの反応を見る限り、彼がライブの時に前髪を上げているのは多分初めてなんじゃないかと思う。
落ち着かないのか、賀上くん自身もどこか緊張している感じに見えた。
もちろん、これから演奏するのだから、前髪の状態に関わらず、緊張はあると思うけど・・・。
「サークヤー!!」
紗也華が突然、楽しそうに叫んで手を振ると、賀上くんは、ふっとこちらに目を向けた。
彼は「え!?」と驚いた顔をした後に、はにかむように笑ったように見えたけど、すぐに観客側に背を向けたので、確かなことはわからない。
「ねねっ、賀上くん、絶対一瞬こっち見たよねっ!?」
「・・・うん。それで笑った気がする」
「だよねっ。ふふふ、かわいい奴め」
満足そうにそう言うと、紗也華はそれからも「サークヤー!」と楽しそうに何度も声援を送っていた。
「ほら心春も!」と誘われたけど、普段「賀上くん」と呼んでいるし、今は彼女でもあるし、この場で「サクヤ」と呼びかけるのは、なかなか勇気がいることだ。
意を決し、紗也華にも気づかれないような小さな声で、「サクヤ・・・」と口に出してはみたけれど、やっぱりとても恥ずかしくなり、私はすぐに口を結んだ。
「こんばんはー!!『T's Rocket』でーす」
その時、ステージ上から声が聞こえた。
準備が整ったのだろう。ショウくんの挨拶に、観客たちがわーっ!!と大きく盛り上がる。
賀上くんは、さっきからうつむきがちに見えるから、やっぱり、前髪を上げているのはどこか落ち着かないのかもしれない。
私は会社で見慣れた髪型だけど、ステージ上、ギターを抱えた彼の姿は、いつも以上にかっこいい。
(しかも、衣装もわりときちんとしてるし・・・)
前回のライブでは、賀上くんはもっとラフな感じの服装だった。
けれど今日は、きれいめなシャツにパンツを合わせ、わりときちんとした格好だ。
「お~っ!かっこいいじゃん賀上くん。元気そうだし・・・、これは確かに女子が騒ぐわ。前髪、普通に整えてるから顔が見えるね」
「うん・・・、ちょっとびっくりしてる」
彼のライブを観るのは2度目だし、本人に確認したわけではないけれど。
ファンの子たちの反応を見る限り、彼がライブの時に前髪を上げているのは多分初めてなんじゃないかと思う。
落ち着かないのか、賀上くん自身もどこか緊張している感じに見えた。
もちろん、これから演奏するのだから、前髪の状態に関わらず、緊張はあると思うけど・・・。
「サークヤー!!」
紗也華が突然、楽しそうに叫んで手を振ると、賀上くんは、ふっとこちらに目を向けた。
彼は「え!?」と驚いた顔をした後に、はにかむように笑ったように見えたけど、すぐに観客側に背を向けたので、確かなことはわからない。
「ねねっ、賀上くん、絶対一瞬こっち見たよねっ!?」
「・・・うん。それで笑った気がする」
「だよねっ。ふふふ、かわいい奴め」
満足そうにそう言うと、紗也華はそれからも「サークヤー!」と楽しそうに何度も声援を送っていた。
「ほら心春も!」と誘われたけど、普段「賀上くん」と呼んでいるし、今は彼女でもあるし、この場で「サクヤ」と呼びかけるのは、なかなか勇気がいることだ。
意を決し、紗也華にも気づかれないような小さな声で、「サクヤ・・・」と口に出してはみたけれど、やっぱりとても恥ずかしくなり、私はすぐに口を結んだ。
「こんばんはー!!『T's Rocket』でーす」
その時、ステージ上から声が聞こえた。
準備が整ったのだろう。ショウくんの挨拶に、観客たちがわーっ!!と大きく盛り上がる。
賀上くんは、さっきからうつむきがちに見えるから、やっぱり、前髪を上げているのはどこか落ち着かないのかもしれない。