春の花咲く月夜には
観客たちは、さっきの疑念は脇に置き、聞こえてきた次のリズムに乗っていく。

私は、ほっと胸を撫でおろす。

紗也華は笑って、私の肩をポンッとたたいた。


(とりあえずはよかったけれど・・・、私は・・・、もっとしっかり覚悟をしなきゃ)


ここにいる女の子たち全員の、興味の視線を一斉に浴びる覚悟とか。

それでどう思われるだろう、とか・・・、きっと、気にしていたらキリがないのだと思う。

賀上くんは、きっと私のために、曲を作って歌ってくれた。

彼だって、勇気が必要だったと思う。

もう、「怖い」だなんて、言ってる場合じゃないのかも。

だって、私は彼が大好きで、これからも、ずっと彼女でいたいから。

いつ、私が彼の彼女だってことがわかっても、胸を張っていられるように。

どんなふうに見られても、思われても、私は、「大丈夫」って思える自分でいたい。



そこからもう1曲と、アンコールの曲が加わって、最後にまた「ANTENNA」もステージに一緒に上がって演奏し、今日のライブは終わりになった。

夢のような時間と感覚。

ここに来る前の自分とは、想いが変わって、見える景色も変わったような。

この感情を、感覚を、賀上くんに、どう伝えたらいいだろう。













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