春の花咲く月夜には
今日は、紗也華と飲んで帰るだろうと勝手に予想をしてたから、明日はゆっくり起きてのんびりしようと考えていた。

だから、用事はなにも入れてない。

賀上くんは、「じゃあ・・・」と言って、後ろ髪をクシャッと掻いた。

「よかったら・・・、これから家で飲み直しませんか。さっき、あんまり店で話せなかったし」

落ち着かない様子で彼が言う。

私は、ドキッと大きく胸を鳴らした。

もうすぐ、23時になるところ。

今から彼の家に行くならば、私が自宅に帰る、終電にはもう間に合わない。


(・・・・・・)


どうしよう・・・、と少し悩んだ。

今日、彼の家に行く心づもりはなかったし、色々な意味で・・・、準備が整っているとは言い難い。

だけど。

話したい・・・聞きたいことが残っているし、なによりも、まだ、私も彼と一緒にいたかった。

「・・・うん」

迷った末に、私はコクリと頷いた。

繋いでいる手に、少しだけ力を込めながら。









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