春の花咲く月夜には
賀上くんの家の最寄り駅。

彼と一緒に電車を降りて、駅の近くのコンビニに寄ってお酒とおつまみをいくつか買った。

ついでにアイスも忘れない。

夏の夜。お酒を飲んで、無性にアイスが食べたい気分になっていた。

賀上くんは、別にいらなそうな感じだったけど、私は、おすすめのアイスを一緒に買った。

チョコとバニラのカップのアイス。

チョコがパリパリしている部分があって、コンビニのアイスの中では私一番のお気に入り。

食べられないかもしれないけれど、一緒にプリンも買っておく。

これから彼の家に行く、緊張を紛らわすかのように、私は、少しはしゃいでいるのかもしれない。





「・・・おじゃまします・・・」

賀上くんの家に来るのは2度目だけれど、1度目は、記憶のない状態でお邪魔したから、初めての気持ちで彼に続いて中に入った。

部屋の中は当然見覚えあるけれど、あの日抱いた感覚と、今の感覚は少し違った。

「狭いけど、その辺適当に座っててください」

「あ、う、うんっ」

彼に勧められ、私は、ラグの上に腰を下ろした。

緊張はずっと続いてる。

賀上くんは、コンビニで買ったものたちを、冷凍庫に入れたりローテーブルに並べたりと、手早く色々してくれた。

ーーーこの前も思ったけれど、賀上くんの家の中は今日もきれいに整理整頓されている。

緊張感はあるけれど・・・、シンプルでおしゃれなカフェにいるようで、この空間はとても心地いい。

「じゃあ・・・、はい。もう一回、乾杯」

私から、20cm程の距離。

斜め横に座った彼は、そう言って、缶ビールを私に向かって少し掲げた。

私は「うん」と頷いて、手に持った缶ビールをカチン、と合わせる。

そこからまた、たわいもない話を少しして、ビールがなくなった頃に、賀上くんは冷凍庫から2人分のアイスを持ってきてくれた。

買った時よりも、よく冷えていて美味しそう。

私はすぐにフタを開け、チョコとバニラをスプーンですくって口へ運んだ。
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