春の花咲く月夜には
「・・・美味しい・・・」

しみじみと、味わいながら呟くと、賀上くんはふっと笑った。

「好きなんですか、コレ」

「うん。コンビニに売ってるアイスの中で一番好き」

「そうなんだ」

彼は笑って、自分のアイスのフタを開け、スプーンに乗せたチョコとバニラを口へと運ぶ。

どうかな?という目で見つめると、賀上くんは、応えるように頷いた。

「確かに美味い。かなり甘いけど」

「ふふ、うん。そこがまたいいんだよ」

そう言って、私はまたアイスを口にした。

やっぱり美味しい。

賀上くんは、「そっか」と言ってまた笑う。

そして私に手を伸ばし、指先で、優しく頬をくすぐった。

その感覚に、心臓が大きく跳ね上がる。

「・・・かわいい」

「!?」

突然言葉をかけられて、私は驚き、スプーンをくわえたまま固まってしまった。

アイスを持った左手は、ヒンヤリと冷えているけれど、身体中が、熱かった。

「・・・あ・・・、え、えっと・・・」

「ん・・・?」

賀上くんに触れられたまま、見つめられて落ち着かなくて、私は、焦るように話題を探す。

そしてすぐにハッとして、ずっと、心にあったことを口にした。

「あ、あの・・・、今日、賀上くんが歌ってた曲・・・、あれは・・・・・・、私のために、作ってくれたんだよね・・・?」

とんでもなく、恥ずかしいことを言っている。

その自覚はもちろんあるけれど、ちゃんと聞いてみたいと思ったし、聞かなきゃいけないことだと思った。

本当に・・・彼がそうだと言ったなら、気持ちを伝えたかったから。

「・・・うん。そう・・・」

賀上くんは、そっと私の頬から手を離し、前髪をクシャッと掻きあげた。

急に落ち着かない様子になって、顔をずいぶん赤く染めている。

「伝わればいいなと思って、あそこで歌ったんだけど・・・。今になって、結構恥ずかしくなってきてるというか。心春さんも・・・、恥ずかしいとか重いとか、ああいうの嫌だったかなとかも考えて。もし・・・、そうだったらすいません」

「え!?う、ううん・・・!!」
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