春の花咲く月夜には
マンション内。奈緒の家のドアの前。

ドア横にあるインターホンを押すとすぐ、「はーい!!」という奈緒の明るい声が外に響いた。

今か今か・・・と、私たちの到着を待っていてくれた様子がわかる。

数秒後には、「いらっしゃーい!!」と、ドアがばーん!と開かれた。

「おねーちゃん咲也くん、お待ちしてまし・・・」

満面の笑みでドアを開いてくれた奈緒だけど、咲也を見るなり、はっ!と、言葉を失ったように息を飲む。

数秒間、奈緒はドアを開けたまま・・・咲也を見上げたままで固まっていた。

「・・・・・・」

「・・・、あ、あの・・・、初めまして。賀上です」

奈緒の視線に戸惑いながら、咲也は、深々と頭を下げて挨拶をした。

すると奈緒は、目を見開いて、「はわわわわ・・・!」と言いながら、口をパクパクさせだした。

「ちょ、おねーちゃん!!咲也くん、本気でイケメンすぎるんだけど!!ど、どうしたらいいの!?」

「え!?いや、どうしたらって・・・、ふ、普通に接してもらえたら」

「普通!?普通でいいの?このイケメンに!?・・・やー・・・、写真は見たことあったけど・・・、リアルのレベルが想像越えた・・・」

奈緒はあわあわと口を動かしながら、咲也から、目を離せないようだった。

咲也は、どう反応すればいいものか・・・と、完全に戸惑っている。

「な、奈緒。咲也、困ってるから・・・」

「・・・はっ!そうだよね!!ちょっとイケメンぶりに驚いちゃって・・・」

「ゴホン!」と息を整えて、奈緒は、「はじめまして」と咲也に改めて挨拶をした。

そして、「とりあえず中にどうぞっ!」とドアを大きく開いてくれたので、私と咲也は、「おじゃまします」と、順に玄関を上がっていった。

ーーーまだ少し、新築の匂いが残る廊下を進む。

その先にあるリビングの中へと入っていくと、琉花を抱っこした央登さんが、私たちを穏やかな笑顔で迎えてくれた。

琉花も、にこにこ笑顔でご機嫌だ。

「心春ちゃん、いらっしゃい。咲也くんは初めましてだね。奈緒の夫の央登です。・・・と、こっちは娘の琉花です」

「っ、初めまして。賀上咲也です。心春さんとお付き合いをさせていただいています。あ、これ、よかったら・・・」
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