春の花咲く月夜には
ショッピングモールの手前に佇む、人気のチェーン店のカフェ。

いつも混んでいる印象だけど、今はたまたま空いているのか、空席が結構見えたので、私と彼は、「ここにしよう」と店に入った。

私はホットのカフェラテを、咲也はアイスコーヒーをレジで頼んで、出来上がったものを受け取ると、どこにしようか・・・と、店内の席を見て回る。

「・・・心春さん、あの席どうですか。ソファだし、落ち着きそうだし」

「あ、うん。いいね」

私たちは、店の奥にある、向かい合わせになったソファ席に腰を下ろした。

壁際で、隣もちょうど空席なので、ゆったりと落ち着く感じの席だった。

ひとまずは、それぞれカフェラテとアイスコーヒーを飲んでほっと一息。

「咲也、さっき央登さんとすごく盛り上がってたね」

奈緒の家で、ケーキを食べた後のこと。

私と奈緒が、琉花と一緒に遊んでいた時、咲也は、央登さんとなにやらとても盛り上がっていた。

すごく楽しそうだったので、何の話をしてたのか・・・、ちょっと気になっていたのだった。

「ああ、うん。央登さん、高校の時、少しだけバンドやってたみたいで。その話で盛り上がってた」

「えっ!そうなの?初耳」

「文化祭でちょっとやったくらいだから・・・って、奈緒さんにも言ってなかったみたいなんだけど。央登さんはボーカルで・・・、『×3BLACK』のコピーとかもしてたらしい」

「そうなんだ・・・!それは確かに盛り上がるね・・・」

央登さんにそんな歴史があったとは。

私も今度、央登さんの話を聞きたいな。

奈緒の家に行く、楽しみがひとつ増えたかも。

「・・・ほんと、最初緊張してたのが嘘みたいだな・・・。楽しかった。央登さん話しやすくて・・・、奈緒さんもおもしろかったし」

「ふふ。でしょ」

咲也の言葉に頷いた。

会ってしまえば大丈夫だろうと思っていたし、実際、楽しそうに過ごしていたとは思うけど。

彼からちゃんと「楽しかった」って言葉を聞けて、よかった・・・、と私はほっとする。

「・・・琉花ちゃんもかわいかったな・・・。泣かれたらどうしようかと思ったけど・・・、ずっと笑ってて」

「うん。今日はほんとにご機嫌で・・・、奈緒たちも言ってたけど、多分、咲也のことが気に入ったんだよ」
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