春の花咲く月夜には
「・・・・・・、そうだったら、嬉しいけど・・・」

咲也は照れくさそうな顔をした。

今日の咲也は、かっこいい、より、かわいいが優勢かもしれない。

「けど、最初、抱っこするのめちゃくちゃ緊張したな・・・」

「ふふっ。でも、咲也抱っこ上手だったよ。琉花も嬉しそうだった」

琉花のことを、優しい眼差しで見ていた咲也の顔を思い出す。

ーーーと、同時に・・・、あの時、央登さんに言われた言葉や、奈緒との会話も思い出す。

「・・・・・・」


(咲也と結婚なんて、まだ、意識していなかったけど・・・)


このままお付き合いを続けていたら、いつかは結婚するのかな。

でも・・・、奈緒も言っていたけれど・・・、咲也は私よりも年下で、バンドだってやっているから、忙しいし、ある程度、お金は音楽に使いたいだろうし・・・、結婚なんて、今は全然考えていないんじゃないかと思う。


(・・・もちろん私も、いつかは結婚したいけど・・・)


それがいつになるかだなんて、本当に、まだわからない。

でも、わからないから・・・と、焦ったり、不安にならないようにしようと思った。

やっぱり、咲也にプレッシャーはかけたくないし・・・。

「・・・心春さん」

呼びかけられて、私は、マグカップに落としていた目線を上げた。

咲也は、意を決したような顔をしている。

「・・・、央登さんたちが言ってたことですけど」

「っ、うん」

はっきりと言葉にしないけど、きっと、結婚のことを指しているのだろうと思った。

私は、覚悟するような気持ちで彼を見つめる。

「・・・オレは・・・、転職したばっかだし、バンドとかもやってるし、あんまり無責任なことも言えないけど・・・、だからって、何も言わずに心春さんを待たせるっていうか、不安にさせとくのもどうかと思って」

「え・・・?」

ドキリとした。

ここから先の、彼の言葉はなんだろう。

期待と不安、両方の気持ちが入り交じる。

「・・・その・・・、オレなりに、考えてはいます。心春さんに・・・、早めにプロポーズできるように」

「!」
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