春の花咲く月夜には
「そこだけを言うんなら、正直ちょっとかわいかった。なんか・・・、わたわたしてて」

「わ、わたわた・・・」

「・・・・・・、『あわあわ』?『バタバタ』かな。うまく表現できないですけど・・・、なんだろう、とにかくまあ・・・、かわいいとしか思わなかったから。全然、そこは気にしないで平気です」

そう言った彼の表情は、やっぱり甘くて優しくて。

心臓がぎゅっとつかまれて、頬がどんどん熱くなる。

「わ・・・、わかった。でも、やっぱり恥ずかしいし痛いから、次からはちゃんと気をつける」

「うん、まあ、時間は全然余裕があるし、ほんと、ゆっくりで大丈夫なんで」

「うん・・・、ありがとう」

恥ずかしさはまだまだ消えていないけど、泣きたい気持ちは、もう、どこかへ行っていた。

それはきっと、こうして賀上くんが優しく笑ってくれるから。


(・・・不思議だな)


賀上くんと一緒にいると、ドキドキするけどほっとする。

全てが包み込まれているような。

彼の方が、私よりも年下なのにと思うけど、年が上とか下とかは、全く関係ないのかな。

ーーーただ、一緒にいると心地いい。

ドキドキも、泣きたくなった気持ちさえ、全て愛しく感じてく。

・・・もう、ここで認めてしまおうか。

認めざるを得ないことかもしれない。

はっきりと。

私が、彼を好きになったこと。




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