春の花咲く月夜には
(・・・とりあえず、私は一旦落ち着こう)
賀上くんが部屋に戻ってきた時に、必要以上に意識しないでいられるように。
私は、ギターをスタンドに置いて立ち上がり、うーんと大きく伸びをした。
(・・・ふう・・・)
何度か深い呼吸をすると、少し気持ちが落ち着いた。
と、そこで、ガチャ、というドアを開ける音がして、賀上くんが部屋の中に戻ってきた。
「・・・っ、おかえり」
声をかけると、賀上くんは頷くように頭を下げて、「どうぞ」と、私にペットボトルのお茶を差し出した。
受け取ると、右手のひらが一気にひんやりとした感覚になる。
「あ、ありがとう・・・」
「いえ」
賀上くんは軽く笑って頷くと、その場で自分のペットボトルを開けて飲む。
私は、彼から少し距離を取り、椅子に座ってお茶をいただくことにした。
(・・・おいしい)
好きなメーカーのお茶だった。
彼にそれを話したことはないけれど、気持ちが伝わっているようでちょっと嬉しい。
しばらくすると、彼はペットボトルを床に置き、自分のギターを手に取った。
そして、ストラップを肩にかけると、ひとり言を呟くように軽くギターの弦を弾く。
私が座っている場所からは、少し離れた・・・眺めるように見える彼の位置。
ギターを弾く、彼の姿はやっぱりかっこいいと思った。
(・・・、なんかやばいな)
見ているだけで、胸の奥がキュンとする。
ただ、少し目を向けているだけなのに。
熱くなっていく頬はどうすることもできないけれど、自分でコントロールできればいいのになと思う。
と、その時、聞き覚えのあるメロディーが耳に響いてハッとする。
(これ・・・、『T's Rocket』のライブで聞いた曲だ)
後になって、賀上くんが作ったのだと知った曲。
あの日のライブで、私が一番好きだと思った曲だ。
(・・・ここはサビの部分・・・)
心地がよくて、しばらく耳を傾けた。
ギュイン、と、弦が響いて音が止まると、私は、彼に向かって言った。
賀上くんが部屋に戻ってきた時に、必要以上に意識しないでいられるように。
私は、ギターをスタンドに置いて立ち上がり、うーんと大きく伸びをした。
(・・・ふう・・・)
何度か深い呼吸をすると、少し気持ちが落ち着いた。
と、そこで、ガチャ、というドアを開ける音がして、賀上くんが部屋の中に戻ってきた。
「・・・っ、おかえり」
声をかけると、賀上くんは頷くように頭を下げて、「どうぞ」と、私にペットボトルのお茶を差し出した。
受け取ると、右手のひらが一気にひんやりとした感覚になる。
「あ、ありがとう・・・」
「いえ」
賀上くんは軽く笑って頷くと、その場で自分のペットボトルを開けて飲む。
私は、彼から少し距離を取り、椅子に座ってお茶をいただくことにした。
(・・・おいしい)
好きなメーカーのお茶だった。
彼にそれを話したことはないけれど、気持ちが伝わっているようでちょっと嬉しい。
しばらくすると、彼はペットボトルを床に置き、自分のギターを手に取った。
そして、ストラップを肩にかけると、ひとり言を呟くように軽くギターの弦を弾く。
私が座っている場所からは、少し離れた・・・眺めるように見える彼の位置。
ギターを弾く、彼の姿はやっぱりかっこいいと思った。
(・・・、なんかやばいな)
見ているだけで、胸の奥がキュンとする。
ただ、少し目を向けているだけなのに。
熱くなっていく頬はどうすることもできないけれど、自分でコントロールできればいいのになと思う。
と、その時、聞き覚えのあるメロディーが耳に響いてハッとする。
(これ・・・、『T's Rocket』のライブで聞いた曲だ)
後になって、賀上くんが作ったのだと知った曲。
あの日のライブで、私が一番好きだと思った曲だ。
(・・・ここはサビの部分・・・)
心地がよくて、しばらく耳を傾けた。
ギュイン、と、弦が響いて音が止まると、私は、彼に向かって言った。