エリートSPはようやく見つけたママと娘をとろ甘溺愛で離さない
「私もまず謝らなければいけません。あのとき、勝手に決めて、いなくなってごめんなさい」

 和臣の顔が見えなくなる。

 小さく頭を下げたことで、視界にはアップルティーのグラスが乗ったテーブルだけが映るようになった。

 和臣は答えなかった。

 想像していたのかもしれない。

 息を呑むとか、動揺するとか、そういった様子はない。

「勿論、理由はありました。でも、あのときの私は『和臣さんに話していいことじゃない』と決めつけたんです。今も、話すべきだったのか、そうじゃないのか、確証はないですけど、良いことでなかったのは確かだと思うんです」

 ただ、黙ってそれを聞く和臣。

 梓は到底その顔を見られなかった。

 これもまたずるいのかな、と思いつつも、薄茶色で氷が浮いたアップルティーの水面を、見るともなしに目に映していた。

「その結果、和から父親を奪ってしまったのは私です。こんなことになって、初めて実感したんです。愚かなことでした」

「そんなことはない」

 梓がそう言ったとき、その言葉はきっぱり否定された。
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