エリートSPはようやく見つけたママと娘をとろ甘溺愛で離さない
「……行こうか?」

 和の前にしゃがんだまま、和臣が梓を振り返った。

 梓もそのまま頷く。

「うん。予約の時間もあるんでしょう」

 このあとの予定の時間について言うと、和臣は軽く頷いた。

「ああ。まぁ多少は前後して大丈夫だけどな。……和。行こう」

 和臣は和の小さな手を取った。

 まるでエスコートするような手つきに、和は顔を輝かせる。

「うん!」

 しかしその顔はやはりまだ濡れていたので、梓はストップをかけることになった。

「ああ、和、先にお顔を拭こう? 涙のお顔じゃご飯に行けないよ」

「あ……、はぁい」

 テーブルにあったティッシュを取り上げて、二枚ほど引き抜く。

 それで今度は梓が和の前にしゃがんで、頬を拭ってやった。

 やわらかな和の頬はすぐに綺麗になった。

 これでもう涙はおしまいだ。

 これからは笑顔が待っている。

 楽しい時間と、幸せな関係が。

「これで良し」

 梓がそう言って終えると、和はすぐに、たたっと和臣の元へ走っていった。

「パパ! わたしね、わたしね、してほしいことがあったの!」

 和臣のスーツを握って、見上げて、きらきらした目で言う。
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