内緒の双子を見つけた御曹司は、純真ママを愛し尽くして離さない
冷たい視線を向ける卓也に、椿姫は顔をしかめた。

「そんなことをすれば、困るのはそちらもでしょう」

「両親は困ると思いますが、私にとってはむしろ好都合。贈賄も政略結婚も嫌いなので。その件で父が失脚したら、私が社を率いて改革を進めます」

ニッと強気な笑みを見せれば、椿姫が怯んだ。

(勝負あったな)

そう確信した卓也は、すかさず二択に追い込む。

「あなたの父に、私に侮辱されたと伝えて事を大きくしたいですか? それとも椿姫さんの方から私に興味を失ったことにしますか? あなたが私との結婚を望まなければ誰も怪我せずにすみますよ」

椿姫はしばらく無言で睨んでいたが、ハンドバッグを手に取るとため息をついた。

「あなたとは相性が悪かったと父に報告します」

どうやら日星製薬にダメージを与えるより、六王寺家や自分のプライドを守る方を選んだようだ。

それこそが卓也の狙いであり、心の中でホッと息をついた。

「二度とお会いすることはありません。さようなら」

艶やかな長い髪を手の甲で払った彼女は、カツカツとヒールを鳴らしてホテルから出ていった。

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