内緒の双子を見つけた御曹司は、純真ママを愛し尽くして離さない
気づけばカフェスペースに従業員以外の客の姿はなく、和樹とふたりきりになっていた。

握られていた卓也の手を振り払った和樹が、椅子をずらして距離を取る。

「なんで俺が男と手を繋がなきゃいけないんだ」

心底嫌そうに見られて、卓也は苦笑した。

「悪い。他に頼める相手がいなくて」

和樹には昨日、電話で協力要請し、今日出社した際にも顔を合わせて頼んだ。

『嫌だね』と断られたが、長年の付き合いだからきっと来てくれると信じていた。

気の乗らない役を演じてくれた和樹に感謝した。

お礼を言っても和樹は不満顔で、ガトーショコラにフォークを突き立てている。

「こんな面倒なことをせず、果歩ちゃんと双子を連れてくればよかっただろ」

「それは俺が嫌だ。大切な妻子を巻き込みたくない」

「俺ならいいというのかよ。ったく、今回は特別に特上寿司で勘弁してやる」

二十時前には退勤できるから今夜飲みに行こうと誘われ、卓也は断った。

「すまない。明日、向こうに戻るから、今夜は家族と過ごしたい」

「入籍もまだ許されていないくせに、いい夫ぶるのか。俺の方が果歩ちゃんより長い付き合いだろ」

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