内緒の双子を見つけた御曹司は、純真ママを愛し尽くして離さない
それだけ言って電話を一方的に切られた卓也は、やりかけの仕事を中断して立ち上がった。
部署を出てエレベーターに乗り、十五階のボタンを押す。
(今日の会議の件か。お前の考えが甘いから穴だらけの企画案になるんだと叱責されるんだろう。上に立つ資格がないとまで言われるかもしれないな)
そう予想して眉を寄せると同時に、五か月半ほど前を振り返った。
『お前の考えるリーダーシップとはなにか』
今と同じように社長室に呼び出されたと思ったら、なんの脈絡もなく突然そのように問われたのだ。
リーダーシップ研修は係長に昇進したばかりの二十四歳の頃に受けている。
それを思い出して教本通りの答えに加え、学生時代に読んだ社会心理学者の論文を引用して返答したのに、父親に呆れ顔をされた。
『お前の考えがまったく見えないぞ』というのが不合格の理由だった。
その日はずっとその問題について思考を巡らせていたが、深く考えれば考えるほどわからなくなり、退勤後に帰路の途中にある森ノ屋書房に立ち寄った。
父親を満足させられる答えのヒントを探すためだ。
そこで果歩に出会った。
部署を出てエレベーターに乗り、十五階のボタンを押す。
(今日の会議の件か。お前の考えが甘いから穴だらけの企画案になるんだと叱責されるんだろう。上に立つ資格がないとまで言われるかもしれないな)
そう予想して眉を寄せると同時に、五か月半ほど前を振り返った。
『お前の考えるリーダーシップとはなにか』
今と同じように社長室に呼び出されたと思ったら、なんの脈絡もなく突然そのように問われたのだ。
リーダーシップ研修は係長に昇進したばかりの二十四歳の頃に受けている。
それを思い出して教本通りの答えに加え、学生時代に読んだ社会心理学者の論文を引用して返答したのに、父親に呆れ顔をされた。
『お前の考えがまったく見えないぞ』というのが不合格の理由だった。
その日はずっとその問題について思考を巡らせていたが、深く考えれば考えるほどわからなくなり、退勤後に帰路の途中にある森ノ屋書房に立ち寄った。
父親を満足させられる答えのヒントを探すためだ。
そこで果歩に出会った。