敵国王子の溺愛はイケメン四精霊が許さない!~加護持ち側妃は過保護に甘やかされています~
《もう! ノームってばひとりだけちゃっかり正装してエミリアと夜会に参加して、抜け駆けだよ!》
 目の前にふわりと湧くように現れたシルフはいつも通りのサイズ感。ぷぅっと頬を膨らませておかんむりの様子も、ある意味いつも通りだ。
 シルフに続いて、サラマンダーも私の前に姿を見せる。
《まったく「嬢ちゃんは舞踏会だから、今夜は儂らの出る幕はなさそうじゃ」などと、どの口が言ったのか》
 サラマンダーがチクリとこぼすと、ノーム爺は居心地が悪そうに目を泳がせていた。
 その時。楽団が奏でる円舞曲が夜風に乗って聞こえてくる。どうやら歓談の時間が終わり、会場内はダンスタイムに移ったようだ。
 父が健在で王宮で過ごしていた幼少期、こっそり舞踏会を覗きにいったのは一度や二度ではない。あの頃はダンスの講師もついていたし、素敵な男性のリードでダンスを踊る日を夢見ていた。
 女性たちが色とりどりのドレスを翻しながら踊る場面を想像すると、当時の憧れが蘇り胸が切なく疼いた。
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