敵国王子の溺愛はイケメン四精霊が許さない!~加護持ち側妃は過保護に甘やかされています~
「さてね。青年たちも言うことだけ言うと忙しなく行っちまったし、それ以上は知らないよ。ただね、あたしら下々のもんになにも情報が下りてこない中、あの青年たちが真剣に語って聞かせたあの話。あたしは説得力を感じたよ。あたしゃこの地区の自治会長をやっててね。自治会の職員総出で地区中に青年たちの話を伝えて回って、外に出ないよう言って聞かせたのさ」
 殿下は目的のエーテル山に向かう傍ら、混乱する人たちに在宅避難を説いて行った。しかもそこに禁書から得たであろう事実をあえて織り交ぜることで、人々にその信憑性を確信させた。
 今さらながら、殿下の才覚に舌を巻いた。
「そうでしたか。正直、王都の中心部はひどい混乱ぶりでした。この周辺は青年たちや会長さんたち働きかけのお陰で混乱もなく、落ち着いているんですね」
 殿下の行動が実を結び、この周辺は不用意な混乱がしっかり抑えられている。彼にエーテル山での使命がなければ、きっとその采配で王都全体の混乱もうまくコントロールしていたのだろうが……。
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