敵国王子の溺愛はイケメン四精霊が許さない!~加護持ち側妃は過保護に甘やかされています~
 シルフの隣にサラマンダーとディーノも現われて、こぞって私に帰城を促す。
「サラマンダー! ディーノ! ねぇ、みんなはこれからなにが起こるか知ってるのよね? さっき『燃えた星が落ちてくる』って聞いたけれど、それはいつ始まるのかしら?」
《嬢ちゃん。このまま野外におっては危険じゃ。話は王宮に戻ってからにせんかね》
 矢継ぎ早に質問を重ねる私に、すかさずノーム爺が反応した。
 昨日、サーカスで助けてもらってから顔を合わせるのはこれが初めてだったが、明らかに昨日より彼らの雰囲気がピリピリしていた。いつも平坦な態度の彼らにしては、珍しいことだった。
 そして彼らは、しきりにこの場所から私を遠ざけようとしていた。
「ううん。私は王宮には戻らない。このままエーテル山に……殿下のところに行くわ!」
 質問の答えはまだもらえていなかったけれど、彼らの様相から状況は一刻の猶予もないのだと悟る。入山口はもう目前で、私が手綱を握る手に力を込めた次の瞬間。
 ドォオオーーーーン!!
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