敵国王子の溺愛はイケメン四精霊が許さない!~加護持ち側妃は過保護に甘やかされています~
 一方、入山口のところで振り切ってからここまで精霊たちの姿は見えない。だけど、彼らが近くから私を見守ってくれているのは疑う余地もなかった。そうでなければ、ここまで飛来した破片で怪我を負うことも、舞い散る塵や灰で目や喉を痛めることもなく、凶暴化した野生動物に行き合うこともなくやって来られるわけがないのだ。
 ……ありがとう、みんな。
 彼らの献身的な優しさと情の深さに頭が下がった。
 山道を登りはじめて五時間、山頂は目前だった。今なお火球は途切れることなく降り続けていた。当初より明らかに威力と精度を欠く光線がギリギリで火球を砕き、なんとか地上への落下を防いではいるが……。
 焼かれるような焦燥感に呼吸が苦しくなり、大きく息を吐き出してやり過ごす。
 殿下、どうか無事で……! 最後の力を振り絞って足を前に出した。
 そしてついに山頂の少し拓けた場所に、殿下の背中を認めた。次の瞬間、私は泣きながら駆けだしていた。
「殿下! 怪我を……っ!!」
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