敵国王子の溺愛はイケメン四精霊が許さない!~加護持ち側妃は過保護に甘やかされています~
 不思議なことに何本矢を抜き取っても、殿下の脇にある矢筒は一向空にならなかった。殿下が射る矢もそれ自体が白く発光しており、ただの矢でないことは瞭然だった。その事実に、なんとも言えない苦い思いが込み上がった。
 すぐ横まで駆け寄る私に、殿下が目線を空に留め置いたまま低く告げる。
「俺は大丈夫だ」
 灰や粉塵を吸い、喉を痛めているのだろう。かろうじて聞き取れる、ざらついた声だった。
「それよりハウイットを見てくれないか。少し前に俺を庇い、頭に破片を受けて倒れたきりだ」
 続く殿下の言葉にハッとして、周囲に目線を巡らせる。殿下ばかりに目がいって気づいていなかったが、ほど近い場所にハウイットさんが血濡れになって倒れていた。
 慌てて彼の頭の脇にしゃがみ込み、状態を確認する。
 おそらく自ら殿下の盾になっていたのだろう。背面は服が破れ落ち、広範囲に及ぶ火傷や裂傷でひどい有様だ。しかし、幸運なことに直接命に関わるものはなさそうだった。
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