秘密の出産だったはずなのに救命医の彼に見つけられてしまいました
あ、危ない! 

ブランコに乗ろうとして紗良は顔面から落ちてしまった。

「う、うわぁーん……」

「紗良? 大丈夫?」

私が抱き起こすと地面に血液が落ちていた。

え?

紗良の顔を見て驚いた。
額がパックリ切れており、出血していたのだ。

「ママぁ」

「さ、紗良。大丈夫だよ。病院で診てもらおうね」

私は紗良に優しく声をかけると、慌ててベンチへ戻りバッグの中からハンカチを出した。
ぎゅっと圧迫止血するが頭は血液量が多くなかなか止まらない。
職業柄血液は見慣れていても、我が子となると別だ。私は慌てて自分の職場へ戻ろうとしたが、うちのクリニックに縫合セットはない。
私はベンチに置いていた荷物を慌てて担ぎ、片手で紗良を抱き抱えると頭をフル回転させ、近くの総合病院へとむかった。
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