再会した敏腕救命医に娘ごと愛し守られています
ガタ……。
ふと目を覚ますと未来がキッチンにいた。

「ごめん、起こしちゃった?」

「大丈夫」

「つわりでも食べられるって書いてあるから素麺を茹でてみたの。冷蔵庫に入れておけば今じゃなくても食べられるみたい。あとね、スイカも妊婦さんが食べたがる人が多いみたいだからそれも冷蔵庫に入ってるからね」

検索してくれたのか冷蔵庫には色々と入っていて驚いた。

「ごめん、お金払う。いくらくらいかな?」

「何言ってるのよ。水くさい。このくらい大丈夫。その代わり赤ちゃん抱かせてね」

フフッと笑いながら話す未来は弾みそうなくらいに楽しげな表情を浮かべている。

「もちろんだよ」

「ねぇ、斗真から連絡きた? 早く教えてあげたいね」

スマホを確認するが既読になっているが返信はない。着信もない。

「うーん。既読はついたけど返信はないから忙しいのかな」

「頑張ってるみたいだもんね。未来のエースなんて言われてるらしいよ」

「そうなの?」

初めて聞いたその言葉に胸の奥がくすぐったい。

「斗真は救急希望でしょ? 器用みたいで外科で評判いいのよ。手放したくないみたい」

内科の私は知らなかったが斗真は頑張っているみたいで安心する。

「でもさ、斗真って見た目もいいじゃない?だから狙ってる看護師も多いらしいよ。でもこれでみんな諦めざるを得ないね。大好きな優里に子供ができたんだから」

笑って話す未来の言葉が胸に響く。
今までも斗真は告白されることが幾度となくあった。その度に断っていたが、医師になりますます斗真は魅力を増してきていた。だからいつ私から心変わりしてもおかしくないと思っていた。
子供ができたからってそれを理由に斗真を縛りつけてはいけないと私の中でふと何かが胸につかえた。
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