再会した敏腕救命医に娘ごと愛し守られています
ねぇ、斗真。
どうして連絡をくれないの?
私から連絡するなんてなかったよね。
斗真の都合のいい時にだけ会える方が良かったの?
私があなたを必要としているのになんで連絡をくれないの?

私はなけなしの勇気をふり絞りまた彼の番号をタップした。
何度もなり続ける呼び出し音にようやく出てくれた。

『はい』

「あ、斗真!」

『優里? 何?』

眠そうな声で、電話に出た彼にホッとしたのも束の間。

『悪いけど疲れてるんだ。またそのうちかけるから。ごめん』

寝不足だからなのか、どこか不機嫌そうな声に驚いた。

「斗真! 聞いて欲しいことがあるの!」

私はすがるように電話口で叫ぶが声が届かなかったのか切れてしまった。

斗真……!

私の目からはとめどなく涙がこぼれ落ちてきた。
彼が忙しいのも疲れてるのも分かってる。
だから私からなんて連絡しなかった。
でもそれが彼にとって都合のいい彼女だったの?
結婚を見据えていたはずなのに足元から崩れ落ちていくのを感じた。
電話したりメッセージを送っていたんだから少しくらい気にならなかった?
不機嫌そうな、迷惑そうな声に背筋が冷える。
もう嫌だ。
また電話をかけて不機嫌そうな声で電話を切られたらと思うだけで気分が悪くなった。
< 32 / 74 >

この作品をシェア

pagetop