再会した敏腕救命医に娘ごと愛し守られています
「ママ?」

歩きながら紗良が声をかけてきたが私は何も言えない。
黙々と歩きながらこぼれ落ちる涙を止められずにいた。
前の時は別れる言葉さえ交わせなかった。
でも今日は違う。
彼とはもう別の道を歩いてると伝えた。これで本当に終わり。
この前見た病院で働く彼の姿はキラキラと輝いていた。本当に努力してきたのだろう。
だからこそ今さら彼の足枷になるわけにいかない。
もう前とは違う。
彼の隣に並べるのは同じ様に輝いてる人だ。
私には紗良との生活で十分に満たされてる。彼がいなくても生きていける。
私は自分の気持ちを押さえ込んだ。
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