虐げられた臆病令嬢は甘え上手な王弟殿下の求愛が信じられない

「オリビア……、オリビアっ」

 自分をとり巻く空間の温度を上昇させ、オリビアの体を温めいていく。
 生きて。
 もう絶対に手放さないと、独りにしないと約束をしたのに……。
 どうして私はこんなにも大切な者を守りきれないのか。

「オリビア、ダメだ。私を一人にしないと約束しただろう」

 逝かないで。
 私を残していなくなるなんて嫌だ。
 駄目だ、許さない。
 私はまだ何も貴女に返せていないのに。

「セドリック様、……幸せでした。私を見つけてくださって、受け入れてくれて……ありがとう……ございます」

 幸せだと彼女は言う。
 たった三カ月の日々が──宝物だったと口にする。当たり前の幸福にしたい。
 特別なことなどないと、これが当たり前だと思わせてあげたい。安心して身を委ねて、一緒に幸せになりたい。

「オリビア、そんなこと言わないでください。ようやく、一緒になれるのに、やっと全て解決して……精神支配だって、解けるのに──」

 オリビアは精神支配を受け、絶望の淵でも微笑んだ。彼女の強さを垣間見た気がした。
 彼女の手を掴むと弱々しくも握り返してくれた。

「生きようとしていることを諦めないでくれてありがとう。オリビア、愛しています。どうか私の元から離れないでください。どうか私と一緒に……幸せに……」
「…………は……い」

 か細くも頷く彼女が愛おしくて、私は彼女の小さな唇を重ねた。
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