エリート御曹司は極秘出産した清純ママを一途な愛で逃がさない
入室してすぐリビングルームがあり、おしゃれなヨーロピアンテイストの家具が異国の雰囲気を醸し出している。
優しい水色とクリーム色の配色がうっとりするほど素敵で、お城のような高級感に思わず息を呑んだ。

「素敵なお部屋ですね」
「ああ。でも、すきを見て帰ろう」

ため息交じりで頭をかき、清都さんは辟易とした声で続けた。

「たまに勝手にこういうことをするんだ。よかれと思って気を回しているんだろうけど、こっちの予定は蔑ろにされて困るよな。きみは帰っても大丈夫だ。ハイヤーを手配するから」 
「……あの、もし泊まるのであれば、構わないですよ?」

ぽつりとつぶやいた私の言葉に、清都さんがパッと顔を上げる。

「せっかくお部屋をご用意していただいたのに、泊まらないのは社長や支配人に対して不義理とならないでしょうか?」
「え……」

それに、リビングルームのカウチソファは広々としている。
ベッドルームも分かれているし、そちらを清都さんが使えばプライバシーは保たれるのでは、と考えていたのだけれど。

清都さんにあまりにも凝視されると気づき、私はハッとした。
信頼しているとはいえ、一晩をともに過ごすという大胆な提案をした自分が、今になって恥ずかしくなってくる。

「あの、ご提案までといいますか……」

笑って誤魔化そうとした私とは対照的に、清都さんは真剣な表情だった。

「たしかにきみの言う通りだ。それに、きみだけが帰ったとどこからか漏れ、変に憶測されて万が一偽の恋人だと両親にバレると厄介だな。いや、しかし……」

清都さんは顎に手をやり、渋面を作る。
私を気遣っている様子が手に取るように伝わった。

隣のベッドルームをちらりと覗くと、キングサイズの豪華なベッドが置かれていた。
壁面はほとんど窓で、眼下には宝石をちりばめたような美しい夜景が広がっている。

「お部屋はふたつありますし、朝まで別々に使うのはどうですか?」
「え?」
「私がこちらのリビングルームを使いますから、清都さんはベッドルー厶でお休みになってください」
「いやいや、そんなわけにはいかない。俺の都合で振り回してるんだから、せめてベッドを使ってほしい」
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