エリート御曹司は極秘出産した清純ママを一途な愛で逃がさない
仕事を終えて帰宅した私は、週末予定していた乗り物のテーマパークを反故にしたいと清都さんにメールをした。考える時間がほしかった。

『言っただろ? きみを抱きたい、って』

清都さんの気持ちを信じたい。

けれども、会社のために光太を利用するのは到底受け入れられない。

清都さんと結婚したら、自然に光太の足もとに会社を継ぐというレールが敷かれるのはわかっている。
でも、愛しい我が子をそのためだけに認知されるのは、納得がいかなかった。

なによりも、光太の存在を知って私にプロポーズしてきたのだとしたらと思うと、すごく悲しかった。
まるで胸を押し潰されたような苦しさを覚え、食事が喉を通らなかった。

こんなにショックなのは、私の気持ちが清都さんに向いているからだと、これを機に気づいたのも私を悩ませる要因だった。

最初は再会して豹変した態度に戸惑ったけれど、光太を大切にしてくれるところや、私に気持ちをぶつけてくる真っ直ぐさに、どんどん惹かれていったのに……。

光太がいる前提で私と結婚したいと言っているのなら、裏切られた気分だった。

まだそうと決定したわけじゃないけれど釈然とせずにいるとき、清都さんから『都合がついたら連絡をくれ』と返信があった。

乗り物のテーマパークにもしも行ってたら、光太はきっと楽しんでくれただろうな……。

胸が痛むけれど、週末はいつものように商店街に買い物に行った。

買い物中に偶然、清都さんが乗っている黒いセダンによく似た車が通りかかったとき。

「あ!」

光太が声を上げて指をさした。
ぱあっと表情を明るくし、その車が私たちの真横を通り過ぎるまで目で追っていた。

清都さんが乗っていると思ったのかな……。
ちゃんと覚えているみたいだし、顔つきから清都さんを好意的に受け入れているとわかり、なんだか余計に胸が締めつけられた。

次の週末。

亜紀さんとプリズムに行くと話したら、母は『光太は私に任せて、せっかくだからゆっくり楽しんでおいで』と快く送り出してくれた。

清都さんと再会してから思い悩む日も多く、私に元気がないと気づいていたようだった。
理解してくれて本当に感謝している。
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