エリート御曹司は極秘出産した清純ママを一途な愛で逃がさない
「そ、そんなこともありましたね。あれは二十歳になったばかりで、まだ許容量が自分でもよくわかってなくて……。その節はご迷惑をおかけしてすみませんでした」

私にとっては至らなすぎて恥ずかしい思い出ばかり。
ペコリと頭を下げて恐縮すると、亜紀さんはフッと頬を緩めた。

「あのときも、帯同していた副社長が抱きかかえて事務室のソファに寝かせてあげたのよ。映美ちゃん、お姫様みたいに大切にされてたわね」
「えっ……」

試飲スペースのスツールでウトウトしたところまでは覚えているけれど、清都さんが抱きかかえて運んでくれたのは知らなかった。

起きたとき、清都さんがそばにいてくれて安心したのは覚えている。

「私てっきり、朦朧としながらスタッフに支えられて、千鳥足で歩いたとばかり……」
「副社長はいつも、映美ちゃんを優しく見守っていたのよ」

亜紀さんが穏やかに目を細め、鷹揚な笑顔で続ける。

「実は私ね、副社長がアメリカ赴任中も連絡を取ってたんだ。退職する映美ちゃんをすごく心配していたから。あ、もちろん妊娠の件は内緒にしてね」

私は目を見開く。

清都さんは離れていた二年間も、私を気にかけていたの……?

「そうだったんですか……」

小さくつぶやく私を、亜紀さんが心得顔で見つめた。

「あの……」

くすぐったい気持ちでモジモジしていると、ピザを運んできたままテーブルのそばに立っていた千花ちゃんが、おそるおそる挙手をした。

「私、プリズムのSNSに支倉乃愛ファンから誹謗中傷コメントがきたとき、副社長に、映美さんを悲しませないでくださいってお願いしたんです」

千花ちゃんが言いづらそうに眉をひそめた。

「えっ、そうなの⁉」

初耳で驚いた私に対し、千花ちゃんはこくりと小さくうなずく。

「なんだかあのときおふたりは、付き合っているにしてはあまり幸せそうではなくて訳ありっぽく見えましたし、映美さんが困っていたようだったので……勝手なことをしてすみません!」

ガバッと勢いよく頭を下げられて、私は慌てて両手を左右に振った。
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