エリート御曹司は極秘出産した清純ママを一途な愛で逃がさない
二年振りに会って彼の態度が変化していた理由は、光太が誰か他の男性との間にできた子どもだと思ったから……?

「それなのにきみは、知らない男にやすやすと口説かれて」

頭の中で勝手に答え合わせをしていた私は、不遜な言い方をした清都さんを見て目をしばたたかせる。

知らない男に口説かれるって、きらきら亭での出来事だよね。

「沢田さん、ですか?」
「待て。無意識に妬かせるな」

間髪入れずに制し、きょとんとする私に構わずに続ける。

「きみの口から他の男の名前を聞くだけで腹立たしい」

剣のある声で、子どものわがままみたいに言う。
いつもの自信と余裕に満ちた、スマートな清都さんからは想像がつかない態度に、私は閉口した。

そういえば、光太を病院に連れて行った帰りの車で、沢田さんの話を自分から振ってきてムスッとしていたっけ……。
嫉妬深い一面に、驚きを隠せない。

「こんなに狭量な男で、呆れたか?」

心の中を見透かされ、ドキッとした私は目を泳がせた。

そんな、まさか……。
意外だけれど、呆れるなんて有りえない。

清都さんの気持ちを知り、胸がいっぱいで頭がふわふわして、夢見心地で不思議な感覚。

「うれしいです、とっても……」

顔中が熱くて、確認しなくてもきっと真っ赤だとわかるほど。

体の奥からこみ上げる感激と驚きに自分でも動揺するくらい支配され、気の利いた言葉を言えない私は恥ずかしくてうつむいた。

すると、ガタリと音を響かせて椅子から立ち上がった清都さんが、私の真横に移動する。

「そんなにかわいい反応をされると、ここが公衆の面前だと忘れてきみを襲いたくなる」

腰をかがめて私にグッと近づくと、耳もとで低音の声を響かせた。

「早くふたりきりになりたい」

首筋を吐息がなぞり、反射的にピクリと肩が微動した。

太ももでギュッと強く握りしめた両手が震えている。私もそうしたいと願っているなんて、恥ずかしすぎて言えないけれど。

羞恥なんて忘れそうになるくらい、清都さんへの積年の思いが今にも胸からあふれそうだった。




< 82 / 90 >

この作品をシェア

pagetop