エリート御曹司は極秘出産した清純ママを一途な愛で逃がさない
玄関に入るなり、頬を両手でがっしり包み込まれ、息が続かないほど深いキスが続く。

何度も何度も角度を変え、酸欠の一歩手前で息継ぎをして、溺れそうになりながら唇を離した。

「欲望むき出しで驚いた、って顔してる」

今にも唇が触れ合いそうな距離で清都さんは、突然始まった濃厚な口づけに困惑している私をからかうような口調で言う。

こそばゆくて口ごもらせていると、清都さんは柔和に微笑みながらチュッと音を立て、もう一度キスをした。
鼻先にちょんと相手の前髪が掠め、くすぐったい。

「映美に渡したいものを取ってくるよ」

清都さんは名残惜しげに私の両肩を掴んで言うと、私をリビングに案内し、彼の自室なのか隣の部屋に入っていく。

プリズムを出た私たちは、清都さんの車で彼のマンションにやって来た。

窓枠のシアターは、紫がかった幻想的な色の空が広がっている。ロマンチックな夕暮れだ。

ここに来た本来の目的は、濃密な口づけではなく、清都さんがどうしても今すぐに私に渡したいものがあると言うからだった。

窓辺でひとり、不意に口もとに手をやる。

さっきのキスの感覚が、まだ残っている。
舌が絡み唇を食まれるたび、腰がふにゃふにゃに砕けて力が抜けるかと思った。

清都さんの熱い眼差しや、密着させる全身から愛を感じて、骨抜きになりそうだった。

回想し、頬がぽうっと熱くなる。
気を紛らわすために外の風景を凝視していると、清都さんの足音が近づいてきた。

「これを、きみに」

振り向くと、私の目の前に清都さんが濃紺の箱を差し出した。

「こ、これは……?」

このシチュエーションは、二年前に一度体験している。そのときの場所はバーだった。

「新しいものを渡したくて。プレゼント作戦が得意なんだ」

逡巡している私の手を取り、清都さんが箱を持たせた。

「結婚しよう、映美。俺のものになってくれ」

開けた箱の中には、以前清都さんに返したものよりもひと回り大きなダイヤが輝く、豪華な指輪が入っていた。
リングは二重になっていて、その部分にもダイヤが並んでいる。

極上の輝きをふんだんに使用した、贅沢すぎるデザイン。

「これ……わざわざ買われたんですか⁉」

きらめきの源を見つめ、はからずもため息がこぼれる。あまりのまばゆさと美しさに、私は目を瞠った。
< 83 / 90 >

この作品をシェア

pagetop