エリート御曹司は極秘出産した清純ママを一途な愛で逃がさない
「ああ。正式なプロポーズに、前回と同じものは相応しくないだろ?」

わざわざこんな高価なものを、二度も私のために……?

宝石には詳しくないけれど、破格だろうという一般的な知識くらいはある。
大きなダイヤがこんなにもたくさん並んでいて、怖くて指になんてはめられない。

それに私は、前回も今だって、こういった形あるものがほしかった訳じゃなくて。

今日、清都さんの気持ちを知れてうれしかった。
誤解が解けてわだかまりが晴れ、これからは光太と三人、家族として暮らしていけると思うと、足が地面から数センチ浮いているのかと錯覚するほど浮かれてしまう。

うつむいていると、清都さんが私の顔を覗き込んだ。

「映美?」
「ここまでしていただかなくても、私の心はもう、清都さんのものです……」

恥ずかしいので、やや小首を傾げて見上げる。
私も清都さんに倣って、気持ちをきちんと言葉で伝えたかった。

見つめ合うのも刹那、清都さんは私の体をきつく抱きしめた。

「きゃっ」

口から漏れた驚きゆえの小さな悲鳴は、清都さんの厚い胸板に押しつけられてすぐに消える。

言葉を交わさないけれど、心が通じる時間がややあってから、深呼吸をするような胸の運動が体越しに伝わってきた。

「きみがいとおしすぎて……。抑えられなくなる」

感情をグッと抑制する声。私の体を包み込む腕に、強く力が込められる。

「どれだけ惚れてるか、わかってもらえた?」
「は、はい……」

わかったのは、骨がきしみそうなほどだということ。
それから、その圧迫される苦しさを、幸せだと感じることだった。

「でも、マズイよな」

独りごちて体を離すと、清都さんは私の肩に額を乗せ、ため息をひとつ吐く。

「光太が待ってるし、早くきみを帰さないと」

自分に言い聞かせるようにつぶやいて、口もとに控えめな笑みをたたえた。

「本当はわがまま言って、もう少し映美を独占したいけど」

眉を下げ、清都さんは切なげに微笑んだ。

私もなんだか今日は、このまま別れるのは名残惜しくて離れがたい。

「私も、できればもう少し一緒にいたいです」

強まる鼓動を落ち着かせるため、手を胸もとにあてて握る。

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