エリート御曹司は極秘出産した清純ママを一途な愛で逃がさない
「今日は母が、ゆっくり楽しんでおいでと言ってくれてて。さすがに泊まったりは無理ですけど……わ!」

言い終えてすぐに、体が宙に浮いた。
今度は浮かれている比喩なんかじゃなくて、現実の浮遊感に私はギョッとする。お姫様さながら、清都さんに抱き上げられたのだ。

あまりにも造作なく、ひょいっと簡単に持ち上げる腕力にびっくりするのは二度目だった。

そのまま無言でスタスタと足を進めるのは、リビングの隣りにある清都さんの寝室と思われる部屋。

「あっ、指輪が!」

持っていた箱の蓋が開いたままだったので、私は移動中に指輪が落ちないか焦った。

「ちょっと待ってください、ちゃんとしまいます。傷でもついたら大変ですから」
「待たない」

清都さんは足を止めず、抑揚のない声で言い切った。
ジタバタしていた私は体の動きを止めて押し黙り、両手で指輪の箱を大切に握り締める。

部屋のドアを開けて入室した清都さんは、戸惑う私をベッドの上に優しく下ろした。

「指輪はいいんだ、大丈夫だから。それよりも、早く俺だけを見てくれないか」

言いながら、私の手から箱を奪い、後ろ手に隠す。
ストレートに独占欲をぶつける言動に、きゅんと胸がときめいた。

至近距離で強い眼差しを浴びせられ、視界が清都さんでいっぱいになる。

「清都さんだけです。私はずっと、清都さんだけを見つめています」

鼻先がぶつかりそうになる直前の、色気のある清都さんの眼差しを吸い寄せらるように見つめる。

清都さんの匂いが濃くなって、軽く開けた彼の唇が私のと重なった。

「んっ……」

唇のやわらかさや、舌の滑らかさをたしかめるようなキス。
恍惚とする感触に、次第に体の奥が甘く疼き、心地よくて頭がクラクラしてくる。

「きゃっ」

キスに夢中になっていると、ベッドの上に組み敷かれている私の背中が跳ねた。
ニットの裾から大きな手が滑り込んできて、肌をまさぐられてくすぐったい。

器用に背中のホックをはずされて、ブラをずらされる。
ブラインドの間隙は、まだ完全に日が落ちきる前でかすかに明るい。

「あの、ちょっと、待ってください」

清都さんの手の甲を掴む。
ピタリと動きを阻まれて、清都さんはやや怪訝な様子で私を見つめた。
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