先生の愛が激重すぎる件
 野原さんの勤務をよくみてみると彼女は今日夜勤明けで明日から二連休になっている。表記をみると希望休でもなさそうだ。

 だからといっていきなり誘ったら迷惑だろうか。プライベートで仲良くしているわけでもない。

――でも声をかけるくらいいいよね?

彼女のことだ。嫌ならきっぱりと断ってくれるだろう。

私は野原さんにメッセージを送った。電話番号しか知らなかったのでショートメールだ。

「突然誘ったりしでごめんなさい。よかったら返事ください、と。これでよし! 夜勤が終わったら見てくれることを願って……」

列車が日光駅に着く頃、野原さんから返信があった。

《今から行きます!》

「え、本当に? 来てくれるの!?」

 スマホの画面を見て驚いた。自分から誘っておいてなんだが、本当に来てくれるなんて意外だった。

到着は午後になるらしく、私は駅の周辺を散策しながら暇をつぶした。
川に架かる橋を渡り川沿いを歩。く天候に恵まれて日差しは出ていたものの都内よりも気温が低く厚手の上着を持ってきて正解だと思った。
「お腹すいたな」
 お昼ご飯は野原さんと食べようと思っているのでお饅頭やコーヒーを飲みながら小腹を満たす。
野原さんの乗る列車の到着が近づき、私は改札口付近で彼女を待った。

「あ。野原さ~ん!」

 彼女の姿を見つけてひときわ大きな声を出す。観光地にひとりで居ることが寂しかったのもあり、野原さんが来てくれてひときわテンションが上がってしまった。

「久保さん。声大きい」

 やや小走りで私のもとへ駆け寄った野原さんは少し迷惑そうにそういった。

「ごめん、ごめん。野原さんの顔見たら嬉しくなっちゃって。夜勤明けなのに来てくれてありがとう。あ、これ電車賃」

 忘れないうちにと用意していた二千円を渡す。すると野原さんは「受け取れませんよ」とい首を振る。

「どうして?」

「どうしてって、私が来たくて来たんですよ。それに、ホテル代もタダだなんて言われたらこれくらい出させてもらわないと申し訳ないですよ」

「だから電車賃は頂きません」そう言って私の手を握らせる。と同時に久保さんのお腹がぐうーと鳴った。

「聞こえました?」

 お腹を押さえながら野原さんが言う。

「うん。聞こえた。仕事終わって急いできてくれたんでしょ? ご飯食べに行こうか」

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