先生の愛が激重すぎる件
それって、僕と付き合ったらってこと?それとも、単に自分なら悲しませないってだけ?
私は鷹藤さんの方を見た。
けれど言葉の真意なんて読み取れるはずもなく、彼の綺麗な横顔を盗み見ただけで終わってしまった。
「なに?」
「ううん、なんでもないです」
「あ、そうだ。明日美に元気の出る曲でもプレゼントしようかな……ねえマスター、いい?」
マスターが頷くのを待ってから立ち上がり、鷹藤さんは壁際にあるアップライトピアノの椅子に腰を下ろす。
そっとピアノのふたを持ち上げると同時にマスターは店のBGMの音を下げた。
客の数名は彼のことを知っているのだろう。会話を中断して体ごとピアノの方へ向けたり、スマホを掲げる人もいた。
始まりは静かなバラード。やがてアップテンポの曲に代わり店の中は即席のコンサートホールとなる。
鷹藤琉加のライブチケットはなかなか取れないそうなのでここに居合わせた人はとても幸運だ。もちろん私も。
やがて彼の演奏を聞きつけてか、小さなバーには人がどんどんと流れ込んでくる。ふと見ると先ほどまでのんびりとグラスを拭いていたマスターも接客に追われていた。
私は鷹藤さんの演奏に耳を傾けながら飲みかけのマティーニに口を付ける。
「おいしい……」
なんて素敵な夜だろう。家に帰ればひとりぼっちで寂しさを募らせていたに違いない。
不意に目が合った。すると鷹藤さんは私を呼んだ。
「おいで、明日美」
みんなの視線が集まる。戸惑っているともう一度名前を呼ばれた。私は人をかき分けるようにして鷹藤さんのそばに立つ。
「座って」
鷹藤さんはそう言って椅子の端に座りなおし、戸惑う私の腕を引っ張って隣に座らせた。
それから私の耳元で「新曲だよ」と言って鍵盤を弾く。まるで、曇った心を晴れやかにしてくれる、まるで初夏の太陽のような曲だった。
「どうだった?」
「とても素敵で、不思議と元気が出ました」
「よかった。明日美は笑ってた方がいいよ」
アンコールが沸き起こる中、私と鷹藤さんは店を出た。支払いはチャラでいいとマスターが言ってくれた。
酔っているせいか、高揚した気持ちでマンションまで帰る。
「今日はありがとうございました。素敵な曲でした。早くリリースされないかな」
「ハハ、気に入ってくれたんだね。嬉しいよ」
私は鷹藤さんの方を見た。
けれど言葉の真意なんて読み取れるはずもなく、彼の綺麗な横顔を盗み見ただけで終わってしまった。
「なに?」
「ううん、なんでもないです」
「あ、そうだ。明日美に元気の出る曲でもプレゼントしようかな……ねえマスター、いい?」
マスターが頷くのを待ってから立ち上がり、鷹藤さんは壁際にあるアップライトピアノの椅子に腰を下ろす。
そっとピアノのふたを持ち上げると同時にマスターは店のBGMの音を下げた。
客の数名は彼のことを知っているのだろう。会話を中断して体ごとピアノの方へ向けたり、スマホを掲げる人もいた。
始まりは静かなバラード。やがてアップテンポの曲に代わり店の中は即席のコンサートホールとなる。
鷹藤琉加のライブチケットはなかなか取れないそうなのでここに居合わせた人はとても幸運だ。もちろん私も。
やがて彼の演奏を聞きつけてか、小さなバーには人がどんどんと流れ込んでくる。ふと見ると先ほどまでのんびりとグラスを拭いていたマスターも接客に追われていた。
私は鷹藤さんの演奏に耳を傾けながら飲みかけのマティーニに口を付ける。
「おいしい……」
なんて素敵な夜だろう。家に帰ればひとりぼっちで寂しさを募らせていたに違いない。
不意に目が合った。すると鷹藤さんは私を呼んだ。
「おいで、明日美」
みんなの視線が集まる。戸惑っているともう一度名前を呼ばれた。私は人をかき分けるようにして鷹藤さんのそばに立つ。
「座って」
鷹藤さんはそう言って椅子の端に座りなおし、戸惑う私の腕を引っ張って隣に座らせた。
それから私の耳元で「新曲だよ」と言って鍵盤を弾く。まるで、曇った心を晴れやかにしてくれる、まるで初夏の太陽のような曲だった。
「どうだった?」
「とても素敵で、不思議と元気が出ました」
「よかった。明日美は笑ってた方がいいよ」
アンコールが沸き起こる中、私と鷹藤さんは店を出た。支払いはチャラでいいとマスターが言ってくれた。
酔っているせいか、高揚した気持ちでマンションまで帰る。
「今日はありがとうございました。素敵な曲でした。早くリリースされないかな」
「ハハ、気に入ってくれたんだね。嬉しいよ」