先生の愛が激重すぎる件
「本日を最後に退職させていただきます。大変お世話になりました」
新卒で入職したこの病院にはとても思い入れがある。楽しいことばかりではなかった。辞めたかった時もたくさんあったけれど、同僚や患者さんに支えられて続けてこれた。ちゃんと成長できたと思うし、看護師としての自分が好きだと言えるようにもなれた。だからなのかいざ職場を去るということがこんなにも寂しい。
「みなさんのおかげで、毎日楽しく仕事が……できました……」
思わず泣いてしまった私をみんなの温い拍手が包んでくれる。
「久保さん。これ、みんなからです」
師長はそういって花束と商品券を渡してくれた。
「ありがとうございます。先生たちも、今までありがとうございました」
看護師以外には退職することを黙っていたせいで外科の先生たちはとても驚いていた。
「随分急だね。久保さんみたいな中堅の看護師さんがいなくなるのは辛いなあ」
外科部長はしみじみとそう言った。
確かに同期の小春もやめてしまったので私の年代の看護師はひとりもいなくなるのだ。でも――、
「だいじょうぶですよ、後輩たちもちゃんと育ってますから」
野原さんだってその下の子たちだって立派に仕事をしている。
「……先生。たくさんご指導いただき、大変お世話になりました」
「とんでもない。こちらこそ、ありがとう。それで、久保さんの送別会はいつ?」
「それが、皆さんお忙しいと思うので開催しないことにしていただきました」
というのは建前で、野原さんや仲の良い同僚たちとは後日食事会をすることにはなっている。
「ええ、そうなの! それはさびしいなぁ。うちの宴会部長が悲しむぞ!」
宴会部長――それがだれなのかすぐに分かった。合コン食事会が大好きな盛り上げ役。そんなのは私と付き合う前の事なんだけど……。
「荒木先生、ですね……」
先生はオペ中で病棟にいなかったので「よろしくお伝えください」と外科部長に伝言を残した。
これが伝えられた時、先生はなにを思うだろう。わたしにはもう、どうでもいいことだ。
総務課で対象の手続きをし、ロッカーで白衣を脱ぐとクリーニングかごに入れた。ナースシューズはごみ箱に捨てる。
新卒で入職したこの病院にはとても思い入れがある。楽しいことばかりではなかった。辞めたかった時もたくさんあったけれど、同僚や患者さんに支えられて続けてこれた。ちゃんと成長できたと思うし、看護師としての自分が好きだと言えるようにもなれた。だからなのかいざ職場を去るということがこんなにも寂しい。
「みなさんのおかげで、毎日楽しく仕事が……できました……」
思わず泣いてしまった私をみんなの温い拍手が包んでくれる。
「久保さん。これ、みんなからです」
師長はそういって花束と商品券を渡してくれた。
「ありがとうございます。先生たちも、今までありがとうございました」
看護師以外には退職することを黙っていたせいで外科の先生たちはとても驚いていた。
「随分急だね。久保さんみたいな中堅の看護師さんがいなくなるのは辛いなあ」
外科部長はしみじみとそう言った。
確かに同期の小春もやめてしまったので私の年代の看護師はひとりもいなくなるのだ。でも――、
「だいじょうぶですよ、後輩たちもちゃんと育ってますから」
野原さんだってその下の子たちだって立派に仕事をしている。
「……先生。たくさんご指導いただき、大変お世話になりました」
「とんでもない。こちらこそ、ありがとう。それで、久保さんの送別会はいつ?」
「それが、皆さんお忙しいと思うので開催しないことにしていただきました」
というのは建前で、野原さんや仲の良い同僚たちとは後日食事会をすることにはなっている。
「ええ、そうなの! それはさびしいなぁ。うちの宴会部長が悲しむぞ!」
宴会部長――それがだれなのかすぐに分かった。合コン食事会が大好きな盛り上げ役。そんなのは私と付き合う前の事なんだけど……。
「荒木先生、ですね……」
先生はオペ中で病棟にいなかったので「よろしくお伝えください」と外科部長に伝言を残した。
これが伝えられた時、先生はなにを思うだろう。わたしにはもう、どうでもいいことだ。
総務課で対象の手続きをし、ロッカーで白衣を脱ぐとクリーニングかごに入れた。ナースシューズはごみ箱に捨てる。