もう恋なんてしないと決めていたのに、天才外科医に赤ちゃんごと溺愛されました
 自分をかわいがってくれる人間のひとりだと認識したからか、優史は目に見えて蒼史さんを警戒しなくなった。

 おとなしくなでられながら、ちょっと得意げな顔をしている。

「笑った顔が似ているんだろうな」

 再び蒼史さんが静かに言った。

 優史を見つめる温かな眼差しを見て、強い罪悪感に襲われる。

 本当は彼も優史の成長を見守れたはずなのだ。パパと呼んでもらい、遠慮なく小さな身体を抱きしめる権利が蒼史さんにもあった。

 それを奪ったのは私だ。

 蒼史さんが結婚を望んでいないから、と理由をつけて優史の存在を黙っていたけれど、本当は怖かったのかもしれない。

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