もう恋なんてしないと決めていたのに、天才外科医に赤ちゃんごと溺愛されました
 彼は子供を大切にし、愛情を注ぐだろう。

 じゃあ、妻の私は?

 自分が恐ろしい過ちを犯したように思えて、自然と身体が震える。

 結婚を望まない蒼史さんのため。いつか別れを告げられたら傷ついてしまう優史を守るため。

 私が親子を引き離していた理由がそれだけだったと、神に誓って言える?

「蒼史さん」

 過ちは正すべきだ。どれだけ自分が傷つこうと、これ以上親子を離れ離れにはできない。

 私の両親と違って死に別れたわけではないのだから。

「どうした」

「さっきのお話、お受けしようと思います」

 優史をなでていた手が止まり、蒼史さんの視線が私に移る。

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