もう恋なんてしないと決めていたのに、天才外科医に赤ちゃんごと溺愛されました
 とはいえ顔を知らないわけではなく、こうして話しかけてくれたのだろう。

「わあ、おめでとうございます! お祝いが遅くなっちゃってすみません」

「そんな、気にしないでください。ありがとうございます」

 立ち止まって話をしだした私が気に入らないのか、優史が服の裾を引っ張って帰りを促してくる。

 頭をなでてなだめ、勝手にひとりで飛び出さないように手を繋いでおいた。

「新婚三か月! 今が一番楽しい時期ですよね」

「ええ、まあ……そうですね」

 曖昧に濁したせいで、会話が途切れる。

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