もう恋なんてしないと決めていたのに、天才外科医に赤ちゃんごと溺愛されました
 そういえば以前、いつもよくしてくれる職員が『新しく入った子、元気なのはいいんだけど噂好きでね』と話していた気がする。

 悪い人ではないのを私も知っているから、どう対応しようかとちょっと悩んでいると、優史が頬をふくらませて手を引っ張った。

「ママ、おうち!」

「ごめんごめん、おうち帰ろうね。──それじゃあ、今日は失礼します」

「こちらこそ呼び止めちゃってごめんなさい! またね、ユウくん!」

「ばいばい」

 優史は素直に手を振ると、再び私の手を引いて歩き出した。

 この場から立ち去る理由になってありがたいと思いながら優史のしたいようにさせる。

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