もう恋なんてしないと決めていたのに、天才外科医に赤ちゃんごと溺愛されました
 親族のもとへ連れていかれて妻だと紹介されるとか、彼にしつこく付きまとう女性を牽制するために協力するとか、そういったなにかがあるのかと思っていた。

 だけど、本当になにもないのだ。

 この広い家で優史の成長を見守るだけ。

 夫婦らしくしようと言ったのに、蒼史さんも肌を重ねて以来あれほど深くは触れてこない。

 彼に触れられたくて、改めてちゃんと話をしたいわけではないと思う。

 ただ、私は不安を感じているのだろう。

 不安定で誰にも明かせない結婚生活を送るのが正しいのか、誰も答えをくれないから。

 悶々としていると、玄関の方で物音がした。

「おかえりなさい」

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