もう恋なんてしないと決めていたのに、天才外科医に赤ちゃんごと溺愛されました
すると蒼史さんはまた不思議そうな顔をしてから、目を見開いた。
そしてすぐに私を解放し、病院でよく見ていた冷たく厳しい表情に戻る。
「それ以外に俺が君にキスをする理由があるか?」
もう彼の声は優しくないし、温かさもない。
でもなんらかの感情を押し殺しているように聞こえた。
「そう……ですよね。急だったのでびっくりしてしまって……」
「これからも気を抜かずに妻をやってくれ」
「待ってください」
自室へ向かおうとする背中を呼び止める。
蒼史さんは私に背を向けたまま、顔だけ振り返った。
「なんだ」
「私は誰に向けて夫婦の演技をすればいいんですか?」