もう恋なんてしないと決めていたのに、天才外科医に赤ちゃんごと溺愛されました
「自分だけで完結させないでください。以前にも言ったと思いますが──」

「悪いが急いでいる。話はまた時間のあるときにしてくれ」

「そう言っていつも時間を作ってくれないじゃないですか……!」

 思わず声が大きくなるも、蒼史さんは私を振り返らずに家を出て行った。

 徹底的に私との対話を拒みたいのか、目の前で鍵をかけられる。

「話さなきゃいけないことしかないのに……」

 優史の父親の話も、私との契約結婚の話も、いつになったら解決するのだろう。

 ため息をひとつついて、優史が寝ている二階へ戻る。

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