もう恋なんてしないと決めていたのに、天才外科医に赤ちゃんごと溺愛されました
 キッチンに立ってさっそくかきたまうどんを作り始める。

 片栗粉で少しとろみを出すのがコツだ。

「ユウくん、おうどんすきー」

「じゃあいい子に待っててね」

「あい」

 今日までこのキッチンで何度も料理をしたけれど、蒼史さんと食卓を囲んだ日は一度もない。

 夜食を作っておくと朝にはきれいになっているから、私が作ったものを食べたくないわけではないらしいけれど。

 せめて私だけでも一緒に食事をしようと待っていると、彼は『済ませてきた』『今日はいい』と早々にベッドへ行ってしまう。

 思い出すと、ずっと避けられ続けていたのだと改めて気づきつらくなった。

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