もう恋なんてしないと決めていたのに、天才外科医に赤ちゃんごと溺愛されました
 思った通り、卵がいくつ入っているかは重要ではないようで、熱心にうどんをすすっている。

 無邪気な優史を見ていると、このままではいけないと強く思わされた。

 まだ今は蒼史さんの行動に疑問を覚えていないけれど、やがておかしいと言うようになるだろう。

 そのときに説明できる自信はない。私にも答えられないことだからだ。

「ママ」

「ん、なあに」

「やまとくん、いないよ」

 小さな器に盛られたぬるいうどんをちゅるんとすすり、優史が私を見上げる。

「やまとくん、いないの」

 もう一度優史が寂しそうに言う。

「ユウくん、きらい?」

「違うよ、ユウくんを嫌いになったわけじゃない」

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