もう恋なんてしないと決めていたのに、天才外科医に赤ちゃんごと溺愛されました
 この様子なら大和の家に着くまでいい子でいてくれそうだと思ったのも束の間、不意にバスが大きく揺れた。

「きゃあっ!?」

 乗客の悲鳴が響き、私の身体も大きく揺さぶられる。

「わああん!」

 優史も驚いて私にすがりつこうとした。

 だけどバランスを保っていられなくて、うまく受け止められない。

 なにが起きてるの、と必死に優史だけは守ろうとしながらバスの前方を見る。

 その瞬間、ざあっと音を立てて血の気が引くのを感じた。

 蛇行するバスが向かっているのは、道路から一本道を隔てた先に広がる畑だ。

「ユウくん!」

 私はどうなってもいいから、この子だけは守らなくちゃいけない。

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