もう恋なんてしないと決めていたのに、天才外科医に赤ちゃんごと溺愛されました
 説明してる時間も惜しい。

 どうして柚子がこんなところにいる?

 なぜ、ただでさえ白い肌がぞっとするほど青白くなっているんだ。

 彼女がずっと腹部に手をあてている理由は?

「柚子、俺だ。わかるか」

 ストレッチャーに並走しながら声をかけると、柚子がぼんやりと目を開いて俺を捉える。

「ゆう、し……は……」

 それを聞いてすぐ、看護師に問う。

「小さい子供はいませんでしたか? 三歳くらいの男の子です」

「男の子ならお母さんに守られたおかげで無事です」

 心臓がうるさいほど音を立てている。

 柚子は優史と一緒に件の市バスに乗り、事故に巻き込まれたのだ。

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