もう恋なんてしないと決めていたのに、天才外科医に赤ちゃんごと溺愛されました
 優史は床に脚をつけると止める間もなく猛ダッシュし、青い靴を放り投げてプレイルームの巨大積み木に飛び込んだ。

 フェルト生地でできているおかげで痛くはないだろうが、それにしても加減を知らない勢いである。

「ユウくん、最初にこんにちはしなきゃだめでしょ」

「こんにちはぁ」

 手もとのおもちゃから目を離さずに言う。

 そんな優史のもとに、すでに訪れていたほかの幼児たちがいっせいに集まった。

 すぐ傍で観察できる大人用のベンチにも、子供たちの親が集合している。いつもとあまり変わらない顔ぶれに頭を下げてから、私は近づいてきた職員に挨拶をした。

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